ユダヤ人への脅迫が急増 墓が倒され、学校やユダヤ教施設に爆破予告

「これは新しい手法です」

ドナルド・トランプ氏の大統領就任以降、全米各地で反ユダヤ感情が高まり、ユダヤ人学校やユダヤ教施設「ユダヤ人コミュニティセンター(JCC)」への脅迫や嫌がらせが相次いでいる。

1月以降、60を超えるJCCに対し、160件を超える爆破予告が起きた。ハフィントンポストはサイト上で脅迫事件を追跡している。

ミズーリ州セントルイス郊外のユニバーシティシティのユダヤ人墓地では21日、100を超える墓石が倒された。

セントルイスのユダヤ人墓地で多くの墓が荒らされた。被害は甚大だ。

フィラデルフィアのユダヤ人墓地でも26日、何者かが数十の墓石を倒した。

27日には、アメリカ国内の少なくとも12の州でユダヤ人関連施設が爆破予告を受け、避難する騒ぎとなった。

アラバマ、ノースカロライナ、ニューヨーク、コネチカット、ニュージャージー、インディアナ、ペンシルバニア、フロリダ、メリーランド、ミシガン、バージニア、デラウェア州で、少なくとも16のユダヤ人コミュニティセンターや学校が脅迫電話を受けていたことをハフィントンポストUS版が確認した。

2017年になって、JCCはこれまで5回脅迫を受けている。

警察が27日の脅迫を受けて捜査したが、いずれの施設でも爆発物は発見されなかったため、同日午前中にすべての施設で業務が再開された。

アメリカ最大のユダヤ人団体「名誉毀損防止同盟」のジョナサン・グリーンブラットCEOによると、JCCと学校はほとんどが同じ敷地か、近接しているという。「こうした反ユダヤの人々がより広範なユダヤ人コミュニティを標的としているのは極めて深刻です」と、そして、グリーンブラット氏は語った。「JCCは幼稚園や高齢者支援プログラムが付属していることが多く、10代の放課後活動にも使われています」と付け加えた。

脅迫は断続的に続き、ロボットのような偽声が使われている。うち1件は「爆破で大虐殺する」というものだった。これまでのところ、標的となった施設のいずれからも爆発物は発見されていない。

誰がこのような脅迫を行うのか、また、個人あるいは団体による犯罪なのかは依然不明だが、アメリカ全土のコミュニティが動揺している。

FBIと司法省はハフィントンポストUS版に対し、こうした脅迫と公民権侵害との関連性を捜査していると語った。

「こうした個人や集団によって私たちの生活が変わることはありません」と、ユダヤ人コミュニテイに防犯の助言を行う「セキュア・コミュニティ・ネットワーク」の責任者ポール・ゴールデンバーグ氏は語った。「私たちはシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)に通い続けますし、JCCにも行きます。スタッフをトレーニングしているので、ユダヤ人コミュニティの施設は安全です」

JCCは、 北米ユダヤ人連合やC米国主要ユダヤ組織会長会議といった組織と関係がある。

ゴールデンバーグ氏は、「犯人たちを捕え、法のもとで裁くひつようがあります。この犯罪は刑務所に行くことになると彼らは理解すべきです。 FBIはこの捜査に多くの人員を投入しています」と語った。

反ユダヤ主義のヘイトクライム(憎悪犯罪)は、アメリカでは宗教的な動機による犯罪の中でも最も大きな割合を占める。今回の一連の脅迫も、2015年以降アメリカ国内で反ユダヤ主義が高まっている中で起きている。

人種差別問題に取り組む南部貧困法律センター(SPLC)のハイディ・ベイリッチ氏は、ハフィントンポストUS版のインタビューで、2017年に入ってからの爆破予告の脅迫は「前例がない」と語った。

「1999年以来SPLCで働いていますが、今回のように同じようなやり方で同じ種類の施設を標的にした攻撃は、これまで見たことがありません。これは新しい手法です」と、ベイリッチ氏は語った。

カリフォルニア州立大学サンバーナーディーノ校の「ヘイト・過激主義センター」所長ブライアン・レビン氏は、このような過激行動の背後には「異なる種類の犯罪者たち」がいるケースが多いと言う。

「思想的な動機を持った者もいれば、ソシオパス(社会病質者)もおり、JCCに対し個人的な因縁を持った人もいます」と、レビン氏は語った。 「ここまでのレベルの脅迫をするということは、何かしら独特の個人的な動機があるように思われます」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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