スタンフォード大レイプ事件の裁判で、軽い量刑を下した判事が罷免されず

「当委員会は再審を行う場ではない」

カリフォルニア州司法委員会は12月19日、酒に酔って意識を失っていた女性をレイプした罪に問われた元スタンフォード大の学生に禁錮6カ月という軽い量刑を下し、罷免を求められていた判事を処分しないことを決定した。

アメリカの名門スタンフォード大学の水泳チームに所属していたブロック・ターナーは2015年1月18日、酒に酔って意識を失っていた当時22歳の女性を大型ごみ容器の脇でレイプした。

たまたま通りかかった大学院生2人が、ターナーにタックルし、女性は病院に搬送された。ターナーは強姦罪で逮捕された。

9月6日、オハイオ州当局が公表したブロック・ターナーの写真。元スタンフォード大学水泳部の選手だったターナーは、意識不明の女性をレイプした罪でわずか懲役6カ月の判決だった件をめぐり、抗議がアメリカ全土に広がった。ターナーは服役態度が良かったという理由で刑期の半分にあたる3カ月でカリフォルニア州の刑務所から釈放されたが、4日後に性犯罪者として登録された。

3月にターナーは、3件の重度の性的暴行罪で有罪判決を受けた。最長で14年の懲役となる可能性があったが、サンタクララ郡裁判所のアーロン・パースキー判事が下した量刑はわずか禁錮6カ月だったため、罷免を求める声が上がっていた。

パースキー判事は、レイプ犯に対してあまり厳しくするべきでないと信じている。6月7日に再選を目指している。退職するように判事にメッセージを送ろう。

パースキー判事の下した「寛大な」判決は非難の嵐を呼び、裁判所から追放しようという運動にまで至った。ターナーは服役中の態度が良かったと認められ、3カ月もせずに刑務所を出た。司法委員会はパースキー判事の判決には、何ら問題はなかったという結論を下した。

「委員会の出した結論は、パースキー判事が不公正、職権乱用、ならびに、量刑を決定するとき法に抵触する行為に関わったという、明白かつ確信を得るに至る証拠は存在しないというものだ」と、委員会の報告書には書かれている。「判決内容は法に定められた範囲を逸脱するものでなく、判事の裁量権の範囲にあるものだ」

委員会の見解によると、パースキー判事が出した量刑は、22歳の女性被害者とターナーの将来に与える影響を考慮したものであり、判決前に保護観察官が出した報告書で勧められている内容に沿ったものだという。

パースキー判事は郡刑務所での短期服役を選択した後、刑務所で過ごすことがターナーの将来に対して「重大な影響」を与えることが懸念されると語った。

委員会が強調した点は、ターナーに対する量刑が適切か否かについては検証していないということだ。

「当委員会は再審を行う場ではない。判事の裁定に賛成・反対かにかかわらず、司法の判決を覆したりいかなる裁判所に対しても判決を覆すよう求める権限を有していない」と12ページにわたる報告書には書かれている。「不正義、偏見、職権乱用、基本的権利の侵害、法を意図的に無視、ないしは何らかの形で法を守る義務を犯したという、明白かつ確信を得るに至る証拠がない限り、裁定に関して裁判官を罰することは委員会の役割ではない」

判決が下される前、被害者女性は裁判所あてに、被告を非難する心がえぐられるような手紙を書き、ニュースサイト「BuzzFeed」に全文が掲載されると大きな反響を呼び起こした。一方、ターナーの父親が出した請願書の内容は、息子の人生が「たった20分間の行動」のせいで破滅するべきではない」と主張し、とうてい世間の共感を得られるようなものではなかった。

120万を超える人々がパースキー判事の罷免を求める嘆願書に署名し、判決に対する多くの批判の声が司法委員会に届いた。判決が不当だと考える人々は、パースキー判事が以前に担当した他の事件を調査し、不当な判決がさらに見つかったと申し立てた。調査が行われたため、パースキー判事は民事訴訟への異動を申し出ることとなった。

パースキー判事追放を求めるグループは委員会の調査結果に反発している。報告書にはパースキー判事が以前扱った事件に対する事実誤認が含まれているとの声明を出した。「アーロン・パースキー判事リコール運動」の議長を務める女性ミシェル・ダウバーさんは、ハフィントンポストUS版の取材に応じ、2017年の投票に向けてリコールを強く求めていくと語った。

「報告書の内容は、私たちがはじめから主張していた点を明らかにしただけです。裁判官の不正をただす請願とは、こういった問題を訴える場としては適切ではありません。リコールこそがパースキー判事を追い出す唯一の現実的な方法なのです」とダウバーさんは語った。「カリフォルニア州法の下では、パースキー判事は選挙で選ばれた公務員であり、有権者はこれから6年もの間、裁判官を勤め続けるのが適切かどうか、判断する権利があるのです」

パースキー判事からすぐにはコメントが得られなかった。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

CALIFORNIA-RAPE/

釈放されるブロック・ターナー

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